猫の口内炎の症状、原因 治療・治し方 予防

このコラムを書くにあたりネット上に掲載されている猫ちゃんの口内炎に関する情報を広範に読んだつもりです。

その結果わかった1つの大きなこととして、
決定的に効果がある治療方法が存在しないということです。

次に思ったことは、
読んでいて悲しくなるほどに、
猫ちゃんにとって口内炎という病気は、
人間にとっての口内炎とは重さが全然違うということ。

数年という長い年月を経ても治らないことが多い
死に至ることもある
有効とされる治療法(抗生物質、ステロイド剤、免疫調整など)で副作用が出ることがある
最後の手段であり最も有効とされるのが抜歯であり、抜歯に踏み切る決断をするのがつらい

これらの点より、口内炎を患っている猫ちゃんもつらいだろうし、その猫ちゃんと一緒に過ごしている方達も本当に大変なんだろうなと感じました。

人間の口内炎に関してならば、これまで苦しんだり、治し方を試行錯誤してきた分だけ語れるが、猫ちゃんの口内炎については経験が無いので、役に立つと感じた情報を出来る限りまとめました。

猫 口内炎

参考になれば幸いです。

 

症状

まず、初期の症状としてあるのは

  • 口臭
  • 口の中(歯肉)が赤くなる

初期症状で口内炎を発症していることに気付くのは難しいようです。

更に口内炎が進行すると、

  • 更に口臭が強くなる
  • 血が混じった涎(よだれ)が出る
  • よだれで口の周りが汚れる
  • 口を痛がり、口の周りをひっかく
  • 食事がとりにくくなる(痛くて食べれない、水も飲めない)
  • のど、舌、口の中が赤く腫れる、ただれる、出来物がある

悪くなっていくと、食事・水が取れないため体重も減り、体力がなくなり衰弱していきます。

こうなってしまう前になんとかするために、治療法や予防は下に記載します。

原因

原因は様々な要因が存在します。これは人間の口内炎も同じで、原因や治療法が解明されていないために特効薬が存在しないのです。

直接的な原因は、
歯石、歯垢に存在する細菌が増殖することで口内炎が出来ると言われています。

ではどのようなときに細菌が増殖し、感染してしまうのでしょうか。

  • 口の中の傷に細菌が侵入・繁殖する
    • 骨などの尖ったものを噛んで口の中に傷がつく
    • 自分で口の中を噛む
    • 電気コードに感電
  • 体調や栄養バランスが乱れているとき
  • ウィルス感染
    • 猫の風邪、インフルエンザともいわれる猫カリシウイルス(FCV)や猫ヘルペスウイルス
  • 免疫力の低下
    • 体の抵抗力が落ちてしまう病気に感染すると、慢性的に口内炎が治らないという状態が続きます
    • 猫免疫不全ウイルス(FIV)感染症、猫白血病ウイルス(FeLV)感染症、糖尿病、腎不全

また、根本的に歯石、歯垢に細菌をためないというのが予防にも繋がりますね。

例えば食べ物ですと、ドライフードよりも缶詰の方が歯垢・歯石がつきやすく、口内炎の発症率が高いというデータもあります。

治療法

冒頭で特効薬が無いと書いた通り、対症療法しかありません。

現在動物病院で行われている治療、ネット上の有識者の情報をまとめると、治療方法は大きく4つに分けられます。

  1. 口腔内の洗浄・消毒
  2. 薬物の投与
  3. 抜歯
  4. レーザー治療

治療法は動物病院の医師により変わってくることもあるようです。その先生の実績や経験、知識に応じて最適な治療方法を選択していると思いますが、ほかの治療法の可能性やほかの意見を聞きたい場合は、別の動物病院にも行き診てもらうことが良いと思います。

人間の病院においてはこれはセカンドオピニオンと言います。動物病院でも最近はよく聞く言葉のようです。
セカンドオピニオンとは(こちらを参照
セカンドオピニオンを転院の意味で使ってる方が多いようですが、黙ってほかの病院に行ってしまう(転院)のと、セカンドオピニオンを受けるために最初の病院・医師からちゃんと症状や治療状況に関する情報提供をしてもらい、それを持ってセカンド医師の意見を聞くのとでは大きく違うので気を付けてください。

情報提供を渋られそうだな(病院の売り上げ落ちちゃうので)、と思われることもあると思いますが、ちゃんとした自信を持って診察をしている先生ならセカンドオピニオンの意義を理解してくれるでしょうし、大事な猫ちゃんのためにも出来る限りの行動をしてあげましょう。医師が情報提供を渋るようであれば今後信頼を置けなくなってしまいますね。。
では治療方法について簡単に1つ1つ見ていきます。
(いろいろネット上で散らばっている情報を整理しているだけにすぎませんので、知識として参考にして頂き、医師の相談を受けるようにしてください。)

口腔内の洗浄・消毒

これは直接的な原因となる歯垢・歯石にひそむ細菌を殺菌するということです。
歯垢や歯石の原因となっている細菌がつかないように消毒するか、既についてしまっている歯垢や歯石を取り除くかです。

歯磨きをするのは人間同様に基本中の基本ですが、素直に歯磨きをさせてくれないという猫ちゃんが多いようで皆さん苦労されています。人間の子供ですら大変ですからね。
歯磨きは治療法というより予防という意味合いが強いので、下の「予防」の項目でも書きます。

 

猫ちゃんの口の中の消毒の方法について3つ紹介します。

1. ガーゼ、カット綿を使って直接猫ちゃんの口の中を消毒します。

イソジンやオキシドールなどの殺菌成分があるものを希釈して使用します。これにより細菌やウィルスの殺菌します。
強くこすりすぎずやさしく消毒しましょう。
直接猫ちゃんの口の中を清掃できるようになるには、猫ちゃんにも相当の慣れが必要のようです。決して無理にやらず、何週間かかっても、日々ちょっとづつ口に触れられることに慣らしていくのが肝要です。

ガーゼやカット綿に猫ちゃんの好きな食べ物の汁をつけて使って少しずつ歯、歯肉を撫でていく、というのも方法としてあります。
このちょっとずつ慣らしていくやり方は、歯磨きも同じだと思います。

猫ちゃんの歯磨き専用の指にはめて使うタイプの商品があったので興味がある方は見てみてください。

まずは慣らすことが大事なので、猫ちゃんが受け入れるようになってくれてから購入してください。最初はご自宅のガーゼなどで試すのが良いでしょう。

種類は限られており、その2商品しか主な商品はありませんでした。

2. 消毒液を直接口に入れて使って洗浄する。

猫ちゃん用の液体歯磨きや洗浄液を口の中にたらし、殺菌消毒の効果を狙います。歯磨きや1で書いたような直接の塗付が出来ない場合はこの方法を取っています。

マキシガード(共立製薬)やデンタルももちゃん(共立製薬)がよく使われているようです。
しかし、わたしが調べた限りでは殺菌効果があるかどうかは読み取れなかったので、治療のための消毒というよりは毎日の歯磨き、口内炎の予防によさそうだなという印象です。

殺菌作用の高いイソジンやオキシドールは、うがいが出来ない猫ちゃんに直接つけてあげるしかないので、液体歯磨きのように左右の奥歯からたらすことはできないですね。

3. 動物病院で歯石・歯垢を取ってもらう。

病院での手術を要します。
全身麻酔・入院なども加味すると2-3万円前後の費用が掛かるようですが、病院によっても違いがあるようです。

何回も通院して医師が検査をし、様子を見たうえで実施するので、費用だけでなく時間もかかります。
高齢や持病持ちの場合には全身麻酔のリスクもあり、手術を断られることもあります。

自分で歯石除去をできる器具や液体商品もあります。

手術をしなくても何とかなりそうな猫ちゃんに対して液体・スプレータイプ歯垢除去をすすめる獣医さんもいるようです。

口の中に入れるものですし、他の病気との兼ね合いなど心配な面もありますので、一度医師に相談してみましょう。

楽天:歯石除去に関する商品

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薬物の投与

抗生物質・抗炎症剤・免疫調整などの薬品を用いる内科的治療になります。動物病院の医師が状態を診ながら、下記の対症療法をいろいろ組み合わせて治療を行っていきます。

 

  • 細菌をたたく抗生剤
  • 免疫力を抑制し、過剰に起きている炎症を抑えるステロイド剤(注射や軟膏)
  • 痛みの緩和と抗ヒスタミン効果がある抗うつ薬を使用することもある
  • 免疫力を調整するインターフェロン(注射や塗布)
  • 免疫調整/抗炎症作用があるラクトフェリン
  • 抗炎症作用のあるオメガ3脂肪酸の摂取

引用先:ペットクリニック・ドットコム

 

ステロイド剤を常用、長期にわたって使うと糖尿病などにかかってしまうこともあります。

また、使用量を増やしていかなければ効かなくなっていくそうです。

抗生剤も長く使うことで効果が出にくくなっていくという報告もあり、いろいろと対症療法はあるようですが、一番成果があがっているのは次に説明する抜歯です。

抜歯

口内炎の原因にもなる口の中の細菌の多くが、歯に付着しています

そのため、その歯を取ってしまうことで細菌の存在場所が無くなり、結果的に口内炎を改善させるという療法になります。

  • 全身麻酔をかけ、炎症が激しい一部の臼歯、もしくはすべての臼歯を抜きます(全臼歯抜歯)
  • 犬歯や切歯にまで症状が及んでいる場合は、切歯と犬歯もすべて抜きます(全顎抜歯)

 

抜歯による改善は薬物投与と比べて非常に高いようで、いろいろな文献や報告で効果が認められています。
口内炎を持つ猫ちゃんの70%に効果があるとも言われています。

獣医さんの投稿記事:http://www.dr-wanwan.com/blog/entry-453.html

 

この獣医さんも書いてますが、抜歯手術後にレントゲン撮影をして、本当に歯根までちゃんととれたかどうかを確認することが後々重要になってくるという獣医さんが多いですね。

せっかく手術をしても残っていると再発につながってしまうので。

抜歯の難しい点は、動物病院に、抜歯をする手術設備と技術を持った先生がいるかどうか、のようです。

猫ちゃん自身にとっても長い手術で体力を要するため、体力面で問題ないか、全身麻酔を受けても問題ないか、という確認も手術が出来るかどうかのポイントになります。

レーザー治療

患部にレーザーをあてて炎症が起きてる部分を除去します。それにより炎症部が無くなり痛みが抑えられますが、原因の根本が治るわけではないので、また口内炎が出来たばあは同様の治療を繰り返し行う必要があります。

なお、レーザー治療は設備がある動物病院に限られてしまいますし、猫ちゃんも治療を受けるのが大変なのでストレスになってしまうという問題もあります。

予防

免疫疾患等を抱えている猫ちゃんの予防と、健康な猫ちゃんの予防はまた違うのだと思います。下記では疾患を患っていない猫ちゃんを対象に書いています。

基本は口の中を清潔に保つのは人間と同じです。

特に歯垢・歯石をためないために食事(ドライフードにする等)や洗浄(ガーゼ・歯ブラシを使った歯磨き等)に気を付けることが第一です。

常に猫ちゃんの口を気にかけることで、ちょっと異常があった場合は、すぐにかかりつけの医師に診てもらうようにしましょう。

自宅でやる歯磨き方法の説明について引用します。

 

お湯や水、猫の好きな肉汁や魚汁などを付けたガーゼを指に巻き、初めは、舌でなめさせてから、歯の表面をわずかになでてみる。

そんなことをしばらく続け、抵抗感がなくなれば、小児用などの小さな歯ブラシに動物用歯磨きペースト、お湯や水、肉汁や魚汁をつけ、さっさっさっと磨いていく。

歯の表面に対して45度の角度に当て、毛先が歯周ポケットの中に入るように、左右へ動かして磨ければ理想的だ。

なお、近年は、猫用のデンタルグッズや、食べるだけで歯垢がつきにくくなるフードやおやつなども市販されている。それらを活用することもいいだろう。

引用元:http://www.p-well.com/health/clinic/cat/cat-kuchigakusai.html

年に一、二度ぐらいは、動物病院で歯垢、歯石の除去と口腔内の定期検査を受け、歯肉口内炎の早期発見・早期治療に努めることも大切。

引用元:http://www.p-well.com/health/clinic/cat/cat-shiniku.html

ペットフード、サプリでの口内炎の予防についてもまずは医師に相談してから選択するのが良いと思います。
多くの実績、口コミがあって有名な商品は良いと思いますが、少しでも怪しいかなと思ったら相談すべきだと思います。これは人間のサプリも同じことですが。

サプリメントに関しては多種多様な商品があり、人によっては効果が出たり、出なかったりして正直効能はわからないです。サプリを常用することによる影響もあるかもしれません。

わたしがいろいろ調べていった中で名前が出てきて、少なからず効果があったと報告している人がいた商品を記載します。期待する効能や用法については、かかりつけの獣医さんとよく相談してくださいね。

なお、順番は意味がありません。